ERCPと膵液細胞診で確診し得た微小膵癌の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は79歳,女性,スクリーニングで行った腹部超音波検査にて膵管拡張を指摘され,精査加療を目的に入院となった.CT,超音波内視鏡(EUS)では明らかな腫瘤像を描出できなかったが,内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)にて頭部主膵管に限局性の狭窄を認め,その近傍の分枝膵管にも狭窄や不整拡張所見を認めた.同時に施行した膵液洗浄細胞診にてclass IIIbを認め,膵管癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的には,癌は分枝膵管の上皮から発生して,長軸方向に約7mm長に表層を発育し一部主膵管上皮にまで進展していた.さらに癌は分枝膵管上皮を越えて,ごくわずかに間質に及ぶ微小浸潤の所見を示した.組織学的な浸潤の範囲も併せると3mmほどの微小な膵癌と診断された.微小浸潤膵管癌の診断にERCPと膵液洗浄細胞診の組み合わせが有用であったため,報告する.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
- 慢性膵炎に対する膵管ドレナージ手術の適応と予後
- 膵異時性多発癌の1切除例―浸潤性膵管癌切除1年11ケ月後の残膵にみられた,浸潤性膵管癌の1例―
- 膵粘液癌の2切除例
- 膵星細胞における壊死腺房細胞の貪食による膵線維化抑制機構の検討
- A case of remnant pancreas head carcinoma after distal pancreatectomy for primary invasive ductal carcinoma of pancreas body