化学療法による急速な腫瘍壊死により十二指腸穿通をきたした膵頭部癌の一例
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概要
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患者は62歳,男性.肝両葉に転移を伴う膵頭部癌に対して,tegafur, gimeracil, oteracil potassium(S-1)と塩酸gemcitabine(GEM)併用全身投与化学療法(S-1,80mg/body:day1-14の2週間連日投与,GEM,1200mg/body:day1, 8に投与,1週休薬:day15-21で1クール)を開始.原発,転移巣ともにPRが得られ継続されていた.6クール終了時より,食後の心窩部痛と発熱,下血を認めたため入院精査したところ,急速な腫瘍壊死によると考えられる膵頭部腫瘍の十二指腸への穿通を認めた.保存的治療では軽快せず,バイパス術を施行し軽快退院した.膵癌に対し,S-1とGEMの併用化学療法は有効な治療選択の一つとして期待されるが,急速な腫瘍壊死,縮小効果をきたした場合,本症例のような周囲臓器への穿通といった合併症がおこる可能性があることに留意する必要がある.
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日本膵臓学会 | 論文
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