膵腺扁平上皮癌の2剖検例
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概要
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急速な経過を示した膵腺扁平上皮癌の2剖検例を経験したので報告する.症例1は83歳の女性で,主訴は食欲不振.エコー·CTで肝転移をともなう,胃前庭部から十二指腸下行脚にかけての腫瘤を認めた.病状の進行が早く,初診より1ヶ月半,入院より1ヶ月で死亡した.剖検では,十二指腸浸潤を示す膵頭部癌を認めた.組織像では約3/4が低分化型の扁平上皮癌,1/4が中分化型の管状腺癌からなり,腺扁平上皮癌と診断された.症例2は75歳の女性で,自己免疫性肝炎の既往あり加療中であった.主訴は全身衰弱.エコー·CTで肝転移·副腎転移·左腎浸潤をともなう後腹膜腫瘤を認めた.全身状態が悪く,入院より1ヶ月で死亡した.剖検では,胃後壁,横行結腸,空腸起始部,脾臓,左腎へ浸潤を示す15cm大の膵尾部腫瘤を認めた.組織像では索状,充実性増殖を示す扁平上皮癌が主体で,脾門部では中分化型の管状腺癌からなり,腺扁平上皮癌と診断された.
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日本膵臓学会 | 論文
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