Solid variant typeの膵漿液性嚢胞腺腫の1切除例と本邦報告例13例の検討
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概要
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症例は62歳の男性で,便秘に対する精査で行われた腹部CTで膵腫瘍を指摘され,当科に紹介となった.腹部超音波検査では,膵尾部に約3cm大の低エコー性腫瘤を認めた.腹部単純CTでは,低吸収腫瘤として描出され,造影CTでは動脈相で強い造影効果を示した.血管造影でもhypervascularなtumorで,超音波内視鏡検査では嚢胞の存在は認めなかった.血液検査では内分泌学的なホルモンの異常は認めなかった.非機能性の膵内分泌腫瘍の術前診断で脾温存膵尾部切除術を施行した.切除標本は被膜を有する弾性硬な充実性の腫瘍であり,肉眼的には嚢胞成分は認めなかった.病理組織学的には,無数の小嚢胞が繊維性間質を伴って増生しており,その内面は透明な細胞質を持つ立方上皮で構成され,PAS染色陽性でグリコーゲンが豊富であり漿液性嚢胞腺腫(solid variant)と診断した.膵内分泌腫瘍との鑑別を要した稀なsolid variant typeの膵漿液性嚢胞腺腫の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
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