膵臓における炭酸脱水酵素の発現と機能
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概要
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炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase;CA)は二酸化炭素の水和反応を可逆的に触媒する亜鉛要求性の酵素であり,酸塩基平衡,pH調節,CO2輸送など基本的な生理機能において中心的な役割を担っている.これまで12種類のヒト活性型CAアイソザイムが知られているが,各アイソザイムは種々の附加的な分子構造を有し,様々な細胞内局在を示す.ヒト膵管細胞ではCA II, IV, IX, XIIがHCO3-輸送体と共に"bicarbonate transport metabolon"を形成し,効率良くHCO3-を分泌している.また,ランゲルハンス島β細胞のミトコンドリア内にはCA VBが存在し,インスリン分泌に関与している.一方,膵癌細胞では膜貫通型アイソザイムCA IX, XIIの発現増強が見られ,癌細胞の増殖や浸潤能を増強している.また,自己免疫性膵炎を含む多発性外分泌腺炎の免疫病態において,CA II, IVが標的抗原としての役割を持つ可能性が示されている.
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