膵癌術後長期生存例における剖検4例の検討
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概要
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1974年4月から2001年12月までに当教室で切除した浸潤性膵管癌199例のうち,24例が5年以上生存し,そのうち再発死亡した剖検4例について,初回手術時病理組織所見とあわせ術後再発形式について検討した.総合的進行度はStage IIIが2例,IVbが2例,根治度はR0が3例,R1が1例で,組織型は管状腺癌3例,粘液癌1例であった.粘液癌の1例は再発が疑われてから約3年間生存しており,粘液癌は浸潤性膵管癌のなかでも比較的ゆっくりと進行する可能性が示唆された.剖検所見から局所再発と肺転移は全例に認め,肝転移3例(75%),腹膜播種3例(75%),その他遠隔転移3例(75%)に認めた.再発時期に関わらず膵床部局所と肝は膵癌再発の好発部位と考えられたが,長期生存後の再発では肺転移の頻度も増える可能性が示された.膵癌の場合,術後5年以上経過しても再発してくる可能性は否定できず,胸部X線画像を含めた定期検査を継続することが重要と考えられた.
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日本膵臓学会 | 論文
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