術前診断しえた膵lymphoepithelial cystの1例
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概要
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術前診断しえた膵lymphoepithelial cyst(LEC)の1例を経験したので報告する.症例は69歳男性.腹部超音波検査·腹部CTにて膵腫瘍を指摘され精査目的にて入院となった.血液生化学検査では,CA19-9が727U/mlと上昇を認めた.MRIでは粘稠度の高い内容物を含むと考えられた.内視鏡的逆行性膵管造影では主膵管の拡張や透瞭像,腫瘤との交通も認めなかった.血管造影検査では,腫瘍壁の一部が濃染された.LECと考え開腹手術を施行した.摘出標本では5.0cm大の弾性軟な腫瘤で,内部は多嚢胞性で割面はチーズ状の白濁したfluidを認めた.膵LECは膵嚢胞性疾患でも比較的稀な疾患であり,中高年の男性に多い傾向を認め,他疾患の経過観察中に発見され,無症状のことが多い.膵嚢胞性疾患の診断には,形態のみならず,性別,内容物など多方面からみることが重要と考えられた.
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