重症急性膵炎における血液凝固線溶系の異常
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
重症急性膵炎における血液凝固線溶系の異常をretrospectiveに検討した.自験例では入院時から凝固線溶系の異常が高率に認められた.特にThrombin-antithrombin III complex(TAT)とD-dimerの異常発現率は100%であった.厚生労働省重症度スコアとの相関関係はProthrombin time-international normalized ratio(PT-INR)とTATが正の相関関係を,血小板が負の相関関係を示した.また,入院時TATはStage 2よりもStage 3, 4において高値を示した.生存群に比して死亡群において,PT-INRは有意に延長し,TATは高値を示した.入院時PT-INRが1.15以上の症例や入院時TATが45ng/ml以上の症例では死亡率が有意に高かった.以上より,重症急性膵炎において入院時TATは重症度や予後予測のマーカーとして有用である可能性が示唆された.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
- 慢性膵炎に対する膵管ドレナージ手術の適応と予後
- 膵異時性多発癌の1切除例―浸潤性膵管癌切除1年11ケ月後の残膵にみられた,浸潤性膵管癌の1例―
- 膵粘液癌の2切除例
- 膵星細胞における壊死腺房細胞の貪食による膵線維化抑制機構の検討
- A case of remnant pancreas head carcinoma after distal pancreatectomy for primary invasive ductal carcinoma of pancreas body