Groove pancreatitisとの鑑別に苦慮したまれな副膵管領域原発膵癌の1切除例―自験例を含めた本邦報告10例のまとめと共に―
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概要
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症例は69歳,男性.心窩部痛・嘔吐を主訴に当院救急外来受診,腹部レントゲン等にて十二指腸狭窄を疑われ入院となった.上部消化管造影検査にて十二指腸下行脚に全周性の狭窄病変を認め,腹部超音波・腹部CT・MRCP検査にて膵頭部付近に腫瘤様構造が見られ膵頭部癌が疑われたものの主膵管・総胆管の拡張はなかった.さらに上部消化管内視鏡では狭窄部の十二指腸粘膜は正常で,生検でも悪性所見はなかった.以上より膵頭部癌を否定できないgroove pancreatitis(GP)の診断にて膵炎の保存的治療を行いつつさらに精査をすすめたところ,18F-FDGおよび11CメチルチロシンPET検査により膵頭部の腫瘤に一致した強い集積像を認め,悪性が強く疑われた.このため,膵頭十二指腸切除術を施行,病理にてまれな副膵管領域原発膵癌と診断された.本邦報告副膵管領域原発膵癌10例のまとめと共に報告する.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
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