膵癌化学療法の最前線 膵癌化学療法におけるgemcitabine有効性向上のための基礎的・臨床的検討
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概要
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膵癌に対する第1選択化学療法剤として広く使用されているgemcitabine(GEM)の作用機序解析に基づいた治療効果増強のための基礎的・臨床的検討を行った.ヒト膵癌細胞株およびヌードマウス移植ヒト膵癌モデルにおいて行い,5-fluorouracil(5-FU)によるGEM取込み増強効果および5-FU系薬剤によるGEMとの至適併用スケジュールを検討した.その結果,5-FU剤先行投与によってGEM取込みが増強し,先行投与後GEM施行が最も抗腫瘍効果が高いことが明らかになった.さらに,切除不能進行・再発膵癌に対して,至適併用スケジュール(UFT先行GEM投与:UFT250 mg/m2:day1~6,day8~13,GEM 800 mg/m2:day7,14,休薬:day15~21)による第II相試験を行い,重篤な有害事象は認めず,奏功率25%,50%生存期間7ヶ月,1年生存率25%と言う成績を得た.また,GEM耐性ヒト膵癌細胞株の網羅的遺伝子発現解析から,GEM代謝に関連するRibonucleotide reductase M1 subunit(RRM1)発現昂進がGEM耐性に最も関連することを明らかにし,RRM1 RNAiを用いたRRM1発現抑制によってGEM感受性が向上することを検証した.さらに,臨床例の検討から,RRM1がGEM感受性にも関与している可能性を示した.
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