重症急性膵炎に伴う膵仮性嚢胞が脾と胃に穿破した1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
重症急性膵炎に伴う膵仮性嚢胞が脾穿破と胃穿破を合併した1例を経験したので報告する.症例は45歳男性.飲酒後の背部痛を主訴に当院受診し,重症急性膵炎の診断で入院となった.腹部CT上,膵腫大と周囲の滲出液を認め,膵尾部に接して径70 mm大の嚢胞が脾内へ穿破していた.第13病日の腹部CTにて,膵仮性嚢胞は脾臓へ穿破し内部にガス像を認め,炎症所見も増悪した.経皮的嚢胞ドレナージを施行し経過観察中,さらに胃と嚢胞間に瘻孔形成が確認され,胃穿破と診断した.ソマトスタチンアナログ投与によりドレナージ排液量が減少し,嚢胞も縮小し,第88病日にドレナージチューブを抜去しえた.現在まで嚢胞の再発はなく経過良好である.脾臓と胃に同時に穿破した膵仮性嚢胞は極めて少なく,また保存的治療により治療せしめた症例である.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
- 慢性膵炎に対する膵管ドレナージ手術の適応と予後
- 膵異時性多発癌の1切除例―浸潤性膵管癌切除1年11ケ月後の残膵にみられた,浸潤性膵管癌の1例―
- 膵粘液癌の2切除例
- 膵星細胞における壊死腺房細胞の貪食による膵線維化抑制機構の検討
- A case of remnant pancreas head carcinoma after distal pancreatectomy for primary invasive ductal carcinoma of pancreas body