術前にすいしょう液性嚢胞腺腫との鑑別が困難であったすい内分泌腫ようの1例
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概要
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症例は73歳, 女性. パーキンソン症候群で加療中に偶然, 膵腫瘍を指摘された. 腹部超音波検査で膵鉤部に30×38mm, 均一な低エコー性腫瘤を認め, 造影CTでは腫瘍辺縁と内部の一部が星芒状に造影された. 腹部MRI検査ではT 1強調像で低信号, T 2強調像で高信号を示し, 血管造影検査では後膵十二指腸動脈領域に淡い腫瘍濃染像を認めた. 膵頭部漿液性嚢胞腺腫を疑い, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理組織学的には立方形腫瘍細胞が索状, 腺房様に配列し, 一部に嚢胞性変化を認めた. 免疫組織化学的検討にて, 非機能性膵内分泌腫瘍と診断した. 一般に膵漿液性嚢胞腺腫と膵内分泌腫瘍は, 画像上で酷似した所見を呈することが多いが, 膵漿液性嚢胞腺腫honeycomb typeと嚢胞性膵内分泌腫瘍の鑑別診断は困難であり, 術前より十分念頭におく必要がある.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
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