胆石性重症急性すい炎の検討
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概要
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胆石性重症急性膵炎の特徴を明らかにするため, アルコール性重症急性膵炎との比較を行った. 胆石性重症急性膵炎は, 高齢の女性に多く, 入院時のAPACHE IIスコアが高かったが, 壊死性膵炎は少なかった. 入院時検査で胆石性とアルコール性の間で有意差を認めた因子は, ALT, Amylase, BUNであった. ALTのカットオフ値を160IU/l と設定すると, 陽性率は胆石性において有意に高かった. 特殊治療の施行率や治療成績は胆石性とアルコール性の間に有意差はなかったが, EST/ENBDや特殊治療の導入により胆石性重症急性膵炎の死亡率は有意に低下していた. 胆石性重症急性膵炎における経過の予知因子を検索すると, 生命予後予知因子はBUN, Cr, LDH, Ca, 感染併発予知因子はLDH, BUN, 臓器障害併発予知因子はLDHであった. 特に入院時LDHが1,000IU/l 以上の症例では, 臓器障害併発率, 感染併発率, 死亡率が, 有意に高かった. ただし, これらの予知因子は胆石性に特異的ではなかった. 以上から, 胆石性重症急性膵炎において, 成因の判別因子としてALT, 経過の予知因子としてLDHが有用であると考えられた.
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