精索転移を認めた進行性すい癌の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は54歳, 男性. 当科初診の4カ月前に近医にて糖尿病と診断され, 内服加療を開始された. その後3カ月間で約8kgの体重減少を認め, さらに左側腹部痛が出現した. 画像検査にて膵癌が疑われたため, 平成15年11月に当科紹介受診となる. 初診時, 右鼠径部に圧痛を伴う径4cmの腫瘤を触知した. 腹部CTでは, 膵尾部から脾門部へ浸潤する径5cmの腫瘤と, 多発性肝内腫瘤および右精索腫瘤を認めた. ERPにて膵尾部主膵管の急峻な途絶像を認め, 肝腫瘍生検の結果は腺癌であった. 以上より, 肝および右精索転移を伴うStage IVbの膵尾部癌と診断し, UFT併用Gemcitabine療法を開始した. 治療に伴い腫瘍マーカーは低下, 原発巣および転移巣は縮小した. 膵癌の精索転移は稀であり, 精索への転移経路として血行性およびリンパ行性が考えられた.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
- 慢性膵炎に対する膵管ドレナージ手術の適応と予後
- 膵異時性多発癌の1切除例―浸潤性膵管癌切除1年11ケ月後の残膵にみられた,浸潤性膵管癌の1例―
- 膵粘液癌の2切除例
- 膵星細胞における壊死腺房細胞の貪食による膵線維化抑制機構の検討
- A case of remnant pancreas head carcinoma after distal pancreatectomy for primary invasive ductal carcinoma of pancreas body