総胆管結石の合併症としての急性すい炎
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概要
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膵炎を総胆管結石の合併症の一つとする観点から, 過去10年間に臨床的に総胆管結石症と考えられた1,117例 (結石確認例676例, 自然落下結石いわゆる "passed stone" 441例) を対象に, 急性膵炎の発症頻度などを調査した. 血清膵酵素上昇は, 218例 (19.5%) に, 発作時の症例に限ると1,036例中216例 (20.8%) に認められた. 重症膵炎は24例で, 血清膵酵素上昇例の11%, 全総胆管結石症例の2.1%であり, 総胆管結石症に合併する膵炎は軽度が多いと考えられた. また, 血清膵酵素の上昇をきたしていた症例は約6割がpassed stoneで, 11.9% (26例) は結石径5mm以下であり, 径6mm以上の胆管結石を認めた症例は約1/4に過ぎず, 血清膵酵素の上昇は小結石に多かった. また, 重症度判定の予後因子の一つであるLDHは, 膵酵素上昇例では45%の症例で陽性となっていたが, 膵炎がなくても胆石発作のみでも35%に陽性であり, 胆石性膵炎では血清LDH上昇の解釈は慎重に行なうべきであると思われた.
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日本膵臓学会 | 論文
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