すい頭部癌術後のゲムシタビン併用全肝照射療法施行中に発症した間質性肺炎の1例
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概要
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症例は55歳, 男性. 体重減少の精査から膵頭部癌を診断された. 術前診断はPV (+) のT4N2M0でStage IVbの膵頭部癌で, 膵頭十二指腸切除術, D3リンパ節郭清, 門脈合併切除再建を行った. 術後の病理診断はpPV (-) であったが, pRP (+), pPLph (+) でfSsage IVbであった. また, 肝転移好発因子である静脈侵襲vがv3であったため, 術後6週目からゲムシタビン併用全肝照射療法を開始した. 10Gy照射, ゲムシタビンは200mg/m2で3回投与後より発熱が生じ, さらに14Gy照射後に全身の発疹が見られた. 治療開始後26日に呼吸困難が出現し, 胸部X線撮影で間質性肺炎と診断された. ただちにステロイド療法を開始し, 症状は劇的に改善し, 照射開始後41日目に軽快退院した. 本療法は少量のゲムシタビンと放射線療法の併用だが, 肺が照射野に入る全肝照射時には間質性肺炎が起こる可能性があることを念頭に置くべきである.
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