ERCP後すい炎のすい性とう痛の発生機序とペインコントロール
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概要
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ERCP後膵炎の腹痛 (膵性疼痛) の発生機序について考察した. 診断的ERCP19,815例に偶発した膵炎23例をもとに, 多変量解析した結果, 性と年齢, 年齢と死亡率, SIRS項目の有無と硬膜外ブロック施行, systemic inflammatory response syndrome (SIRS) 項目の有無と重症度, 重症度と死亡率にそれぞれ有意差を認めた. すなわち, SIRS項目陽性例は有意に"強い腹痛"を訴える例が多く, 重症化しやすいことが判明した.膵性疼痛はトリプシン, サイトカイン (TNF-α), PAR-2, アラキドン酸カスケード, polymodal-nociceptorのカスケード反応により惹起される. 我々は, 発症時に痛みを伴わないERCP後膵炎は経験していない. "強い腹痛 (膵性疼痛)"を訴える例で, とくにSIRSを発症している例には, NSAIDやオピオイドの漫然投与を避けて, 持続動注療法を含むプロテアーゼインヒビターの投与を発症早期より施行することで, 膵性疼痛のカスケード反応を早期に制御すれば, ペインコントロールとSIRSの治療が同時に可能であり, 結果的にERCP後膵炎の重症化を阻止出来る可能性が高い.
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日本膵臓学会 | 論文
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