異所性右鎖骨下動脈を合併した解離性胸部大動脈瘤に対し,2 期的に人工血管置換術を行った1 例
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概要
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要旨:異所性右鎖骨下動脈(ARSA)は先天性の弓部分枝異常である.交差する食道や気管の通過障害,近傍の大動脈瘤や解離,ARSA 自体の瘤化や破裂を合併することがあり,さまざまな術式が報告されてきた.症例は68 歳女性.造影CT でARSA を伴う解離性胸部大動脈瘤(DeBakey IIIb)を指摘された.広範囲の人工血管置換を要するため,まず胸骨正中切開より弓部大動脈全置換術とARSA の血行再建を施行し,2 期的に下行大動脈置換術を行った.将来的なARSA の瘤化や周囲の圧迫を防ぐため,起始部を大動脈内腔より閉鎖し,右腋窩動脈に端側吻合した8 mm 人工血管と4 分枝付き人工血管の第1 分枝を前縦隔で吻合再建した.術後CT で,ARSA は起始部から右椎骨動脈分岐直前までが血栓で閉塞しており,ARSA 合併症例に対して胸骨正中切開からの弓部置換と起始部閉鎖,前縦隔経路再建が有効な手法であると考えられた.
- 特定非営利活動法人 日本血管外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本血管外科学会 | 論文
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