腸骨稜上端を通過させた腋窩-浅大腿動脈バイパスの1例
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概要
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要 旨:腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術後の鼠径部感染の症例に対し,感染グラフト切除と一期的下肢バイパス術を行い,良好な結果を得られた症例を経験した.症例は82歳,女性.右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパスを施行後,遠隔期に左鼠径部のグラフト感染を認めた.細菌培養では黄色ブドウ球菌を検出.感染は右腋窩動脈-両側大腿動脈グラフトの左脚末梢部のみに限局していた.グラフト切除のみでは左下肢の虚血が重篤化するため,一期的に左腋窩動脈-左浅大腿動脈バイパスを行った.グラフトの経路は,感染した左鼠径部の外側を迂回させた.グラフトの屈曲・圧迫狭窄を防止し,皮下スペースを確保するために,左腸骨稜上縁部は一部削り取ったのちに,グラフトを皮下経路で末梢側に誘導した.手術に際しては,清潔術野と不潔術野の取り扱いの順序を厳格にして行うことにより,感染の再発なく良好な結果が得られた.
- 特定非営利活動法人 日本血管外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本血管外科学会 | 論文
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