腎虚血と下肢虚血を同時に合併したDeBakey I型急性大動脈解離に対する治療経験
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概要
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DeBakey I型急性大動脈解離に腎と下肢の虚血を同時合併した2症例が,異なる臨床経過を示したので報告する.症例1は左腎動脈が真腔から右腎動脈が偽腔から起始し,偽腔による真腔圧排で左腎動脈が閉塞し虚血を生じた.同様の機序で左下肢虚血も合併していた.症例2は両腎動脈とも真腔起始していたが,左腎動脈が偽腔から圧排され虚血を発症した.同様の機序で両下肢虚血を合併していた.手術はエントリー切除を含む上行および部分弓部置換術を行った.術後,症例1では真腔血流が増加して左腎および左下肢の虚血は解除されたが,偽腔血流低下により今度は右腎が虚血に陥った.結果的に両腎機能が低下し血液透析を必要とした.一方,症例2では左腎と両下肢血流が改善し,透析は不要であった.
- 特定非営利活動法人 日本血管外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本血管外科学会 | 論文
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