血行再建術により救肢した透析アクセス関連盗血症候群の1例
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概要
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糖尿病性腎不全の患者は末梢動脈疾患を合併していることが多く, 内シャント(AVF)の維持やそれに関連する合併症の管理に難渋することが多い. 透析アクセス関連盗血症候群(DASS)により左第 2 指の先端と左 4, 5 指切断端が難治性潰瘍となっていた症例に対し, 上腕動脈-橈骨動脈バイパスを施行して救肢し得た症例を経験した. 症例は56歳男性. 左上腕に上腕動脈と尺側皮静脈とのAVFが作成してあり, 術前の血管造影により左橈骨動脈の閉塞, 左尺骨動脈に多発する高度狭窄, およびアクセス部の盗血による手掌部の虚血の発生が明らかとなった. 動静脈吻合部の中枢から手関節近傍の橈骨動脈に自家静脈を使用した血行再建術を行ったところ, 難治性潰瘍は治癒した. DASSによる潰瘍発生後に本症例のようなバイパス手術にて救肢し得た報告はみうけられない. DASSに対するdistal revascularization interval ligation(DRIL;遠位血行再建兼吻合間結紮術)はよく知られた方法であるが, distal revascularizationのみでも救肢が可能な症例もあると思われたので報告する.
- 特定非営利活動法人 日本血管外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本血管外科学会 | 論文
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