びまん性胃粘膜下異所腺の合併により深達度診断が困難であった多発早期胃癌の一切除例
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概要
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症例は70歳代男性.定期検診で多発早期胃癌と診断され,治療目的で当院へ入院となった.術前の上部消化管内視鏡検査で噴門直下に0-IIc病変,胃体上部後壁に0-IIa病変,胃体下部後壁に0-IIc病変が認められた.生検で噴門直下病変はGroup IV,その他の病変はGroup V(高分化型管状腺癌)と診断された.また生検標本の粘膜下層には異型のない多発性の異所腺が認められた.胃体上部後壁病変に対して超音波内視鏡検査(Endoscopic ultrasonography:EUS)を施行したところ,第3層に突出した低エコー域が認められたため,体上部病変にsm高度浸潤を伴う多発癌と診断し,腹腔鏡補助下胃全摘術を行った.摘出標本の病理検査で,粘膜下層に異型のない異所腺が多発しており,びまん性胃粘膜下異所腺(Diffuse cystic malformation:DCM)に合併した多発胃癌と診断した.また,上部消化管内視鏡検査で診断されていた3病変に加え,術前判明していなかった癌病変も指摘された.深達度に関しては,術前のEUSによる精査で体上部の病変をsm高度浸潤と診断していたが,実際には深達度mであり,体下部後壁病変のみが深達度smであった.胃癌症例で粘膜下層に異所性腺管構造を認める場合には,DCMを合併している可能性がある.本症例のようにDCMを合併した胃癌ではEUSによる深達度診断が困難な場合があるため,治療法選択の際には慎重な精査を行うことが望ましい.
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