早期診断にもかかわらず予後不良であった血栓性血小板減少性紫斑病Thrombotic Thrombocytopenic Purpura(TTP)の4症例
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概要
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血栓性血小板減少性紫斑病thrombotic trrombocytopenic purpura (TTP) の4症例を短期間に経験した.症例1はclopidogrel投与後に脳梗塞,血小板減少にて発症した.ADAMTS13 (a disintegrin and metalloprotease with thrombospondin type 1 motif 13) 活性は中程度に減少し,血漿輸注plasma infusion (PI) および血漿交換plasma exchange (PE) にて一時的には血小板数は回復したにもかかわらず敗血症にて死亡した.症例2は貧血,血小板減少,不穏症状で発症した.ADAMTS13活性は中等度に減少し,PI, PEにより一時的には血小板数は回復したがその後減少し全身状態の悪化により死亡した.症例3は急激に増悪した微小血管障害性溶血性貧血microangiopathic hemolytic anemia (MAHA) ,血小板減少を発症し入院当日に呼吸不全にて死亡した.ADAMTS13活性は著明に減少し阻害因子を認めた.症例4は下肢脱力,血小板減少にて発症した.ADAMTS13活性は著明に減少し阻害因子を認め,PEは効果なく全身状態の悪化により死亡した.これらの症例においては臨床症状,ADAMTS13の活性の程度,中和阻害因子の有無および濃度,PEおよびPIに対する反応も様々であり,これら全例が短期間で死亡した.定型的および非定型的TTPの症例が含まれており,ADAMTS13活性の低下のみならず血管内皮細胞障害などの他の要因も関与しているものと考えられた.予後不良例にはPE, PI以外の適切な治療の開始が必要である.
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