各種皮膚疾患におけるフィブロネクチンの局在
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概要
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正常皮膚や各種皮膚疾患におけるフィブロネクチン(fibronectin, FN)の局在を蛍光抗体法を応用し観察した。正常皮膚では, 角層表皮にFNは認められず, 表皮下基底膜部に線状に, 真皮乳頭層に網目状に分布し, さらに乳頭血管壁や立毛筋, 汗腺や毛包周囲に一致してFNが認められたが, 真皮中層から深層にかけて, その沈着は認められなかつた。尋常乾癬や皮膚血管炎では, 痂皮に一致してFNが存在し, また, 接触皮膚炎や水疱症の一部で, 表皮内へのFN沈着が認められた。SLEやDLEでは, 肥厚した表皮下基底膜や血管壁に一致したFNの増加が認められ, 一方鞏皮症類では, 表皮下基底膜部や真皮乳頭層の線状, 網目状分布が減弱していた。また, ケロイド, 肥厚性瘢痕, 皮膚線維腫では, 真皮全層にかけて, 豊富で密なFNの沈着が認められた。このようなFN増減所見とその病的意義は, 現在のところ明らかではないが, これらの<I>in vivo</I>における成績と, 多様な生物学的機能を有するFNとの関係について, 若干の検討を加えた。
- 日本皮膚科学会西部支部の論文
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