地域包括支援センターにおける業務の現状および個人特性・労働環境と職業性ストレスとの関連
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概要
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地域包括支援センターにおける業務の現状および個人特性・労働環境と職業性ストレスとの関連:山口淑恵.久留米大学医学部環境医学講座―目的:本研究の目的は,地域包括支援センターの業務の現状および,個人特性・労働環境と職員の職業性ストレスとの関連を明らかにすることである. 対象と方法:対象は,地域包括支援センターの職員251名である.地域包括支援センターの業務の現状および個人特性・労働環境と努力・報酬不均衡モデル(ERI),GHQについて調査した.解析は,個人特性・労働環境における努力・報酬比(E/R比),オーバーコミットメント(OC)のリスク,GHQ得点について X2検定により比較した.GHQ3群(低・中・高得点群)によるE/R比,OC値の関連については,一元配置分散分析を行った. 結果:地域包括支援センターの4つの基本機能のうち,「地域に総合的・重層的なサービスネットワークを構築する」,「包括的・継続的ケアマネジメント」は,機能していると解答した者の割合は,22.0%と50.4%であった.努力得点平均は15.5±5.3点で,他の先行研究の平均値の約2倍と高値であった.GHQ得点において有意差が見られたものは,労働時間( p<0.001),仕事内容に対する不安(p<0.001)であった.また,GHQ得点が高いほどE/R比も高く,多重比較の結果,GHQ低得点群とGHQ高得点群の間で著明な差が見られ( p<0.001),GHQ低得点群とGHQ中得点群の間でも有意な差が見られた( p=0.012).高いE/R比と有意に関連が認められた項目は,週労働時間50時間以上(オッズ比:10.38,95%信頼区間:2.52-42.70),雇用の不安定(オッズ比:2.75,95%信頼区間:1.22-6.21),仕事内容に対する不安(オッズ比:17.04,95%信頼区間:3.57-81.24)であった.OC値のリスク要因と有意に関連が認められた項目は,週労働時間50時間以上(オッズ比:8.04,95%信頼区間:1.99-32.41),仕事内容に対する不安(オッズ比:4.60,95%信頼区間:2.04-10.37)であった. 考察:地域包括支援センター職員の健康度は低く,ストレス度は高いことがわかった.これらの結果は,彼らが不十分な雇用形態や長時間労働の下,仕事内容に関連した不安を抱いて働いていることを示唆している. (産衛誌2010; 52: 111-122)
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