9歳男児に発症した口腔腺房細胞癌の1例
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概要
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口腔発生唾液腺型悪性腫瘍は比較的まれな疾患であり,小児発生例はさらにまれである。今回,われわれは9歳男児に発症した口腔発生腺房細胞癌の1例を経験した。6歳時より口腔前庭に腫瘤を自覚していたが,腫瘤が縮小しないため当科紹介受診となった。臨床経過および画像所見にて,当初良性腫瘍が疑われたため,初回手術で腫瘤の核出術を行ったが,術後病理組織診にて腺房細胞癌 (acinic cell carcinoma) と確定したため,周囲組織の追加切除を行った。追加切除病理にて明らかな腫瘍の残存を認めなかったため,放射線治療・化学療法などの治療は行わず,外来で厳重経過観察中である。口腔発生の腺房細胞癌に関しては低悪性度腫瘍である故に外科的切除が第一選択であるが,再発転移を含めた慎重な経過観察を要する。
- 耳鼻と臨床会の論文