近赤外線分光法を用いた嗅覚刺激に対する脳内酸化ヘモグロビン濃度の変化
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概要
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ニオイ刺激により、脳内酸化ヘモグロビン濃度の変化が前額部で最も著明に認められた。側頭部、頭頂部、後頭部では酸化ヘモグロビン濃度に明らかな変化を認めなかったことにより、前額部での脳内酸化ヘモグロビン濃度の測定は、嗅覚に関与しているといわれている前頭葉眼窩回における脳活動を反映しているのではないかと推測した。ニオイ刺激により、酸化ヘモグロビン濃度がいったん減少し、その後上昇する結果が得られた。これは、ニオイ刺激に対する脳活動亢進により酸化ヘモグロビンが消費されることでいったん減少し、その後脳活動亢進が進み脳血流量が増加することで酸化ヘモグロビン濃度が上昇したものと考えた。自覚的に不快なニオイや強いニオイほど酸化ヘモグロビン濃度の変化が大きいことが観察された。ニオイ刺激に対する脳活動の評価として、脳波、脳磁図、PETやfunctional MRIなどが用いられているが、近赤外線分光法も、ニオイ刺激に対する脳活動の評価を行う方法として有用であると考える。
- 耳鼻と臨床会の論文