大学病院耳鼻科外来における難聴の遺伝カウンセリング
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概要
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2000年8月より2005年7月までの5年間に九州大学病院耳鼻咽喉科外来で遺伝カウンセリングを行ったクライアントについてその臨床像を検討した。人数は37名で、84%が女性であった。平均年齢は26才で、10才代が最も多く、次いで30才より40才代が続いた。難聴は35%で進行性が認められた。聴力レベルの平均は53dBで、40dB未満の軽度難聴が38%、40から60dBの中等度難聴が24%、60dB以上の高度難聴が38%であった。聴力型は水平型と高音漸傾型が多かった。家系図より推測された遺伝形式は常染色体優性が57%と最も多く、常染色体劣性が14%、伴性優性および母系が3%であった。症候群性難聴は22%で、その他は非症候群性難聴であった。難聴の遺伝カウンセリングには、難聴の原因、評価、対策、対応への支援など聴覚医学的知識を要するので、遺伝学に詳しい耳鼻科医が積極的に遺伝カウンセリングへかかわることが大切と考える。
- 耳鼻と臨床会の論文