深頸部膿瘍の臨床的検討
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概要
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当科で最近15年間に経験した深頸部膿瘍17例および最近10年間に本邦で報告された430例につき検討を加えた。性別は男性が女性の約2倍の頻度で多く、平均年齢は44歳であった。最も多い発症原因は扁桃炎を含む上気道炎が61%で最も多く、歯性感染 (18%)、異物 (7%)、医療行為 (7%) が続いた。起炎菌についてはStreptococcus属が43%にみられ最も多く、27%に嫌気性菌が検出された。切開排膿による外科的ドレナージは記載がある375例のうち84%に施行されていた。合併症では糖尿病が16%と最も多く、日本人の糖尿病有病率5.5%の約3倍であった。糖尿病合併患者の平均在院日数47日は全症例の36日より長期で、死亡率も13%と全症例の死亡率4%の約3倍であった。本疾患の治療として積極的に外科的ドレナージを行い、嫌気性菌を標的にした抗生剤の投与が重要であり、特に糖尿病合併例では注意が必要である。
- 耳鼻と臨床会の論文