難治性逆流性食道炎に対する低用量ランソプラゾールの長期投与の意義
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概要
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咽喉頭異常感症の病態は依然として謎が多いが、最近は原因として胃食道逆流症が注目されている。胃食道逆流症治療のガイドラインはある程度確立しており、プロトンポンプ阻害剤が有用である。胃食道逆流を証明するためには食道内のpHモニターが必要であるが、これを所有しない当科では上部消化管の内視鏡を行い、非びらん性胃食道逆流症や逆流性食道炎を認めた症例に対しプロトンポンプ阻害剤を投与するようにしている。プロトンポンプ阻害剤は国内でランソプラゾール、ラベプラゾールおよびオメプラゾールの3種類の薬剤が認可されているが、各薬剤の有効率については過去において本研究会でも報告した。一方でこれらのプロトンポンプ阻害剤によって症状が改善するも、投与中止後、再発する症例に遭遇することになった。2回以上再発した逆流性食道炎を難治性食道炎と定義し、その治療法について検討したので報告する。1999年2月から2004年1月までの5年間に当科を受診し逆流性食道炎と診断された257名から再発を認めた14名を対象とした。男性が10名で女性が4名であり、男性の方が多かった。再発した全例にランソプラゾール15mg/dayを30日分処方した。全例において症状の改善を認めたが再再発した2名の男性症例に対してはランソプラゾール15mg/dayを90日分処方した。現在のところ再発はなく経過は良好である。再発を繰り返す難治性の逆流性食道炎に対しては低容量のランソプラゾールの長期投与が有用である。
- 耳鼻と臨床会の論文