胃食道逆流症 (GERD) 治療を行った「のど」症状を主訴とする23例の新来患者の検討:3年間の治療前アンケート調査より
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概要
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GERDによる咽喉頭異常感症は欧米では少なからず認められ積極的に診断的治療が行われているが、本邦ではまれと考えられがちである。今回当科で経験したGERD治療反応群に対し治療前にアンケート調査することにより臨床像を明確化し治療前診断に有用な情報が得られないかを検討した。2000年1月より2002年12月までの期間に当科受診し治療前のアンケートの一番気になる症状欄に「のど」の症状を記載した23例につき解析を行った。治療無反応群は症状日誌導入前で4例中3例、導入後は19例中3例であった。このうち治療反応群10例における解析では以下のことが明確となった。診断に有用とされるQUEST問診表の陽性例は1例であった。肥満はなかった。GERDに特異的な症状である「胸やけ」は50%が経験していた。しかし症状の発現頻度で見てみると1週間に数回以上出ている症状としては「おくび」が40%と最も高率であり、「呑酸」は30%、「胸やけ」は0%にすぎなかった。併発症状としては咳などの感冒症状が30150%にあった。増悪因子としては、甘い物、コーヒー、速喰い、歯科的問題が30%以上認められた。以上から症状よりの積極的診断は困難であることが再確認された。設問としては胸やけよりおくびを聞く方が感度がよいと考えられた。また明らかな生活改善因子があり改善点が指摘しやすい症例がより治りやすいと思われた。生活指導も含めた治療と症状日誌の組み合わせにより高率に治療できる可能性が示唆された。
- 耳鼻と臨床会の論文