周波数分布からみたいびき音の音響解析:終夜睡眠中のいびき音の再現性の有無に関する検討
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概要
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いびき・睡眠時無呼吸を主訴に受診した患者のうち、いびき音の録音状態が良好であった単純いびき症6例および無治療の閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 症例8例を対象としていびき音の音響学的解析を行った。任意のいびき音を抽出し解析した結果、単純いびき症および閉塞部位が軟口蓋から舌根部まで広い範囲にわたるOSAS症例については、いびき音の周波数分布はほぼ一定の傾向がみられた。閉塞部位が主として軟口蓋であるOSAS症例では、任意に抽出したいびきの中に、周波数分布上、1,000Hz以下に一峰性のピークを持つものと、1,000Hz以上の高周波数帯のピークを持つものとが混在した。一晩のいびき音を任意に抽出し30個加算した場合には、単純いびき症では、1,000Hz以下の一峰性のピークが特徴であり、OSASでは閉塞部位によらず、1,000Hz以上の周波数帯に複数のピークが認められた。以上より、OSASのスクリーニングに利用するとすれば、一晩のいびき音を加算して検討する方法が適していると考えられた。
- 耳鼻と臨床会の論文