側頭筋の非外傷性多発性骨化性筋炎が疑われた1例
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概要
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非外傷性骨化性筋炎と診断した症例を報告した。症例は8歳の女児で主訴は右耳前部の腫脹であった。腫瘤は硬く、圧痛はなく、可動性も比較的良好であった。CTで側頭筋内にほぼ球形で一部歯牙様の陰影を呈した5個の骨化性病変を認めた。実際に診断のために摘出した筋突起近くに在した腫瘤の組織像は歯牙に近似したものであった。CT所見と合わせて本症を当初は多発性異所性歯牙としたが、類似の報告がなく、異所性歯牙の分類に該当するものもなかった。MRIにて側頭筋に浮腫状の輝度変化が見られ、CTで見られた陰影に辺縁部の骨化が強いものがあり、zoning pattern様の所見と考え骨化性筋炎の可能性が高いと判断した。骨化性筋炎は外傷性と非外傷性に分かれるが顔面領域では外傷性が多く咬筋に見られる。側頭筋での非外傷性はほとんど報告がなく、多発性となるとさらにまれな症例となる。難しい症例でもあり将来診断名が書き換えられる可能性もあるが筆者らは現在のところ本症を非外傷性骨化性筋炎としている。このまれな症例につき報告した。
- 耳鼻と臨床会の論文