TS-1を併用した頭頸部の放射線化学療法について
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概要
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頭頸部癌では各種の感覚や咀嚼、嚥下、発声、呼吸などの機能が障害される。われわれは5-FU、vitamin Aを放射線療法と併用する放射線化学療法 (FAR療法) によって早期癌では良好な成績を得たが、頸部リンパ節転移を伴う進行癌の成績は十分でない。このため、FAR療法の5-FUを経口のTS-1 (テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤) に換えて治療効果を検討した。TS-1は65mg-80mg/m<SUP>2</SUP>/dayを1日2回28日間投与し、照射日にはパルミチン酸レチノール50,000IUを筋注した。照射線量30Gyの時点で治療効果を組織学的に判断し、治療効果が良好の場合は60-70Gyの根治照射を行い、治療効果が不良の場合は手術治療とした。治療成績は現在集計中であるが、現時点までに28名の頭頸部癌症例において82%の奏功率を得た。TS-1を併用したFAR療法は頭頸部癌に対し治療成績、臓器保存の両面で期待できる治療法である。
- 耳鼻と臨床会の論文