味覚低下症例とうつ病
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概要
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味覚低下を自覚する患者は増加傾向にある。その原因の一つに昨今増加を指摘されている軽症うつ病との関係を調べてみた。軽症うつ病とは、精神症状は軽微であるが、種々の身体症状を訴える疾患である。味覚低下を訴えた37人に対してSDSを使用し検討を加えたところ10人、27.0%の症例がうつ病の範囲に入った。すなわち、味覚低下を自覚して外来を受診される患者の4人に1人はうつ病の可能性があり、耳鼻咽喉科医にもそれなりの対応が要求されるといえる。特に主訴と検査結果が大きく異なる場合や、電気味覚機能検査とろ紙ディスク検査で大きな解離がある場合は注意が必要と考えている。また、うつ病の範囲に入る味覚低下症例は亜鉛値が低下している例が多かった。亜鉛値とうつ病とは関係するところもあり、今後も検討を続けていきたい。
- 耳鼻と臨床会の論文