皮膚筋炎に伴う嚥下障害の検討
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概要
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皮膚筋炎は、横紋筋の炎症を基本病変とする全身性炎症性疾患であり、特徴的な皮膚病変を合併し、12から60%に嚥下障害を認める。本疾患に伴う嚥下障害は、類似疾患である多発性筋炎に伴う嚥下障害と同一視されてきたが、近年、両筋炎の病因は異なる可能性が示され、両筋炎に伴う嚥下障害も、区別して検討する必要がある。今回われわれは、嚥下障害を疑われた皮膚筋炎症例に関して、嚥下機能を検討した。対象は嚥下障害の合併が疑われ当科を受診した皮膚筋炎の11例である。いずれも、嚥下困難感を訴えていた。全例に咽頭食道造影検査を実施し、11例中10例に嚥下障害を認めた。軽度の喉頭下降期型誤嚥を7例に認めた。舌根の後方運動障害を8例に、食道入口部開大障害を4例に、食道蠕動運動障害を6例に認めた。この三つの障害をすべて認めたのは2例のみであり、舌根運動障害のみを認めたものが3例、食道蠕動運動低下のみを認めたものが2例と、皮膚筋炎の症状が多彩なように、嚥下障害の程度や障害部位も多様であった。過去に報告された症例を含めて検討し、皮膚筋炎と多発性筋炎の嚥下障害の相違点を明らかにした。
- 耳鼻と臨床会の論文