外傷性外耳道閉鎖症の1例
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概要
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交通事故による外傷性外耳道閉鎖症を経験したので文献的考察を加え報告する。症例は32歳男性で上・下顎骨折等の整復術を受けた後当科へ紹介となった。初診時左外耳道の完全閉塞を認め聴力像は左55dBの伝音難聴を呈した。全麻下に左外耳道形成術を施行した。十字切開した閉鎖膜と骨部外耳道皮膚とのZ形成を施行した。術後聴力は13.8dBまで改善し41.2dBの利得を得た。外耳道閉鎖症では閉鎖部位より深部に扁平上皮の落屑物が蓄積し真珠腫を形成、耳性頭蓋内合併症を来すことがある。本症例は術中所見で鼓膜穿孔および鼓室内に肉芽病変を認めたことから、扁平上皮生着による真珠腫形成の可能性があった。しかし術後9カ月の側頭骨CTでは鼓室病変を認めていない。上・下顎骨折を伴う外傷では、外耳道損傷を来していることがあり外耳道狭窄や外耳道真珠腫・中耳真珠腫の形成に注意する必要がある。
- 耳鼻と臨床会の論文