中国呉江市および日本仙台市の一般住宅における室内塵中のダニ調査とその比較
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概要
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本調査は、1999年5月3日に中国江蘇省呉江市黎里鎮に居住する一般家庭11家屋の各個所から室内塵を採集し、その中のダニ類の調査を行った。一方、日本においても同年 5月25日に、仙台市に居住する10家庭を対象に同様の調査を行った。家屋内における調査場所は、主に寝具を中心に、床、ソファなど適宜採取場所を選択して、同機種の掃除機にて室内塵を採集した。採集場所は1家庭につき3-7カ所について行った。調査家屋の室内塵の採取場所の内訳は、中国では11家庭を対象に、寝具、床などを中心に総数 53カ所について、一方仙台では、10家庭48カ所について行った。中国呉江市の調査家屋 11戸計53カ所から検出された平均ダニ数は、261.1個体/m2、805.8個体/g、一方仙台市の調査家屋11戸計48カ所の平均検出ダニ数は、43.3個体/m2、2, 132.9個体/g、チリダニ数が平均1, 251.4個体となり、両国のダニ数を比較すると、1平方メ-トル中のダニ数では中国が日本に比べて多く、1グラム中のダニ数では日本が中国に比べて多くなった。今回調査で検出されたダニ類は、両国ともにチリダニ科Pyroglyphidaeが70%と優位であった。このほか、ホコリダニ科Tarsonemidae、ニクダニ科Glycyphagidae、コナダニ科Acaridae、マルニクダニ科Chortoglyphndae、ササラダニ類Oribatei、中気門類 Mesostngmata、ツメダニCheyletidae、ヒメハダニTenuipalpidae、テングダニBdellndae など、類似するダニ類が見いだされた。チリダニ類の割合をみると、中国呉江市ではイエチリダニ (H. d.)(58.77%) 、ヤケヒョウヒダニ (D. p)(37.97%) 、コナヒョウヒダニ (D. f.)(3.26%) となり、H. d. が優位に検出されたのに対して、仙台市ではD. f.(91.03%) 、D. p: (8.80%) 、H. d.(0.17%) となり、D. f. が高率に見いだされ、チリダニにおいて両国に大きな相違を認めた。両国の調査家庭におけるダニ数の分布をみると、検出ダニ数は両者ともに床面に比べて寝具に多く、特に中国においてはその差が大きく、また寝具のチリダニの占有率が高率であった。
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