上顎癌眼窩浸潤例の治療
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概要
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1989年1月から19997年12月までに治療を行った上顎癌新鮮例は32例である。そのうち画像にて眼窩浸潤が認められ、根治治療の対象となった15例の治療結果について検討した。われわれは、可能な限り眼球を温存する方針で、肉眼的腫瘍残存例でも極力眼摘せずに治療しているが、15例中6例では一次治療で眼球摘出を要した。眼球温存を図った9例中眼窩被膜部再発は3例にみられた。一次治療後48カ月の時点で眼窩部が治癒状態にあったものは4例、局所コントロール率44%であった。眼窩部再発3例中、2例に小線源治療でさらに眼球温存を図ったところ、1例で2年以上局所のコントロールが得られた。小線源治療は眼窩被膜の再発症例に対してもさらに眼球温存の可能性を示しており、今後症例を重ねて検討したい。
- 耳鼻と臨床会の論文