下咽頭癌の治療成績
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概要
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1988年から1997年の10年間に当科を初診した下咽頭癌91例について、その治療成績を検討した。TNM分類によるstage分類では、stageI・II 12例、stageIII 16例、stageIV 63例と進行癌が全体の87%を占めていた。FAR療法、CDDP・PEPを中心とした化学療法、および咽喉食摘術を原則的治療とした。臨床的に陽性な頸部リンパ節転移に対して根治的頸部郭清術を行い, 予防的郭清術は行わなかった。1988-1997年の病因特異的5年生存率は52%であったが、1988-1992年のそれは49%であったのに対して1993-1997年のそれは56%であった。手術群の5年生存率は68%と、非手術群の37%に比して良好であり、手術的療法が現状では下咽頭癌治療の主体であることが確認された。化学療法施行群の5年生存率は61%であり、非施行群の41%に対して若干の上昇に留まったことから、集学的治療における化学療法の補助的な役割が示唆された。
- 耳鼻と臨床会の論文