突発性難聴に対するベラプロストナトリウムの臨床効果
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概要
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プロスタグランディンI<SUB>2</SUB>製剤であるベラプロストナトリウム (プロサイリン®, ドルナー®) を, 突発性難聴34例に経口投与し, 投与を受けていない31例と比較検討した. 厚生省研究班による予後判定基準, 改善率, 聴力改善を用いて比較したが, 投与群と非投与群の問に統計学的有意差は認められなかつた. 予後を左右すると考えられている各因子 (初診時聴力レベル, 眩暈の有無, 初診病日, 聴力型) ごとに改善率を比較したが, 投与群と非投与群の間に統計学的有意差を認めなかつた. 抗カルジオリピン抗体陽性を示す症例が, 投与群34例中5例に認められた. これらの陽性例では治癒率が若干高い傾向を示した. 今回の検討中, ベラプロストナトリウム内服のみで奏効した症例, またベラプロストナトリウム依存性に聴力が変動する症例を経験した. なお, 重篤な副作用は認めなかつた.
- 耳鼻と臨床会の論文