ヒト鼻粘膜の微細血管構築とアレルギー反応時における鼻粘膜微小循環動態の変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では正常者および鼻アレルギー症例を対象として, 生体用顕微鏡であるマクロスコ-プとレ-ザードプラー血流計を用いて, ヒト生体下甲介粘膜の微細血管構築とアレルギー反応時における鼻粘膜微小循環動態の経時的変化を観察した. 下甲介粘膜表層には平面的な網眼形成をなす緻密な毛細血管網が発達し, この深層には海綿静脈洞が層状に配列していた. 係蹄状毛細血管群は下甲介前上端の一部に認められた, アレルギー反応時の即時相においては誘発後5分前後をピークとする血流量の増加に伴い, 拍動性血流を示す血管の数の増加, 容積血管を含む血管の拡張と識別できる血管の数の増加, 浮腫の亢進を認め, 充血の発生が示唆された. 血流量が誘発前のレベルに戻つてからは拍動性血流を示す血管は消失するが, 容積血管を含む血管の拡張は持続して認められることにより, うっ血の発生が示唆された. さらに血管拡張が消退してからも血管周囲に見られる浮腫の亢進は持続して認められた. 抗原自然曝露の状態では, このような即時相における鼻粘膜血管反応が時間軸を変えて進行するものと考えられる.
- 耳鼻と臨床会の論文