前連合経由の声帯内注入術
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概要
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声帯内注入術では, endolaryngealに注入する方法と, 経皮的に注入する方法が一般的であるが, 声帯粘膜の硬化病変に対しては, 声帯振動を妨げない物質を, 声帯粘膜内に正確に注入することが必要であり従来の方法では困難である. 成犬3匹を用いて, 甲状軟骨の中央を削り, 注入針固定板を用いて, 前連合部より声帯遊離縁に沿つて, 声帯内にコラーゲンを注入した. 注入後30日以上放置の後, 摘出喉頭による吹鳴実験により声帯振動を観察, 前額断の薄切り切片により, 注入されたコラーゲンの位置を確認した.<BR>コラーゲンは3匹6側すべて声帯粘膜内に注入されていた. 摘出喉頭による吹鳴実験では声帯振動は良好であつたが, コラーゲンが上皮直下に注入されていると, 粘膜波動が障害されていた. 前連合部より声帯遊離縁に沿つて, 声帯粘膜固有層内にコラ-ゲンを注入する方法は, 搬痕状声帯や声帯溝症の治療法として臨床に応用できると考えられる.
- 耳鼻と臨床会の論文