正中頸嚢胞に発生した乳頭癌の1例
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概要
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正中頸嚢胞に発生した乳頭癌の1例を経験した. 症例は28歳女性. 前頸部腫瘤を主訴に当院を受診した. 頸部X線, CT, エコー所見から, 壁の一部に石灰化を伴つた正中頸嚢胞と診断し, Sistrunk法による摘出を行つた. 病理検索の結果, 嚢胞壁の一部に乳頭癌の存在が明らかになつたが, 術中所見, 術後の甲状腺シンチグラフ, 頸部エコーにて甲状腺, 頸部リンパ節に異常所見を認めなかつた. 149の文献報告例を検討した結果, 本症例はSistrunk法によるlocal excisionおよび厳重なfollow upにて対処可能と判断し, 追加治療を行わなかつた.<BR>良性疾患と考えられがちな正中頸嚢胞の1~2%に癌の発生が認められている. 本疾患を扱う際には, 不用意に嚢胞の摘出を行うことなく, 悪性の可能性を念頭におき術前から十分な検索を行うことが必要である.
- 耳鼻と臨床会の論文