TO-193の耳鼻咽喉科領域における臨床的評価:臨床第III相一般試験
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概要
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コラーゲンシート上にフィブリノゲン, トロンビン, アプロチニンを固着させた製剤TO-193の鼓膜穿孔における閉鎖効果および手術時の止血・被覆効果について検討した. 外傷性鼓膜穿孔2例, チュービング抜去後の閉鎖不全1例, 慢性中耳炎6例にTO-193を用いた外来鼓膜形成手術を行い, 8週後の閉鎖効果を検討した. 完全閉鎖 (ピンホールを含む) となつた症例は5例, 穿孔が縮小した症例は4例で, 全例縮小を認めた. また, 鼻副鼻腔手術5例, 口腔咽頭手術4例において, 止血処置を行つた後においても持続する出血に対し, TO-193を使用した. その結果, 本剤のみで止血された症例は,「軽い」出血で6例中5例,「中程度」出血では3例全例であり, 全症例では9例中8例であつた. 安全性についても, 全18症例において本剤によると思われる異常は認めなかつた. 以上の成績より, 本剤は, 外来鼓膜形成手術と止血処置後の出血において有効な製剤であると思われた.
- 耳鼻と臨床会の論文