塩酸リドカインとメチル-B12静注による耳鳴の治療効果
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概要
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耳鳴の薬物治療として用いられている塩酸リドカイン (キシロカイン) は耳鳴を一時的に消失もしくは軽減させるが, 永続的な効果は少ないとされている. またメチル-B<SUB>12</SUB>(メチコバール) は末梢性顔面神経麻痺などの末梢神経障害の治療に多く用いられている.<BR>今回この両者の併用による耳鳴の永続的な抑制効果を目的に, 自覚的耳鳴患者15例 (男性5例, 女性10例) 20耳に塩酸リドカインとメチル-B<SUB>12</SUB>静注による治療を行つた. 耳鳴の原疾患は原因不明の感音性難聴が10耳と最も多く, その他突発性難聴5耳, 騒音性難聴2耳, 無難聴性耳鳴2耳, 音響性外傷1耳であつた. その結果は耳鳴消失2耳 (10%), 軽快8耳 (40%), 不変9耳 (45%), 悪化1耳 (5%) であり, 軽快以上の改善は 10耳 (50%) であつた. この成績は従来のそれぞれの単独療法の成績と変わらず, その理由はそれぞれの薬理作用が異なるためと考えられた.
- 耳鼻と臨床会の論文