縦隔洞に進展し, ガス産生を伴つた頸部蜂窩織炎の1例
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概要
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今回われわれは, 基礎疾患のない21歳の男性に生じ, ガス産生を伴い縦隔洞にまで進展した口腔底および頸部の蜂窩織炎の症例を経験した. 起炎菌は嫌気性菌で, 抗生剤全身投与と, 顎下部, 頸部の外切開施行にて, 感染症状は比較的速やかに改善した.<BR>治癒後, 一時的に頸部の運動制限を伴う斜頸, 開口障害をきたしたが, マッサージなどにより機能は徐々に回復した.<BR>口腔底, 頸部の重篤な感染症の報告は, 高齢者や, 糖尿病などの基礎疾患を有する症例についてが多く, 致死症例も稀ではない. ガス産生を伴う場合, 起炎菌は嫌気性菌である可能性が高く, 治療は気道確保と抗生剤投与, 感染巣の外切開, 排膿, 洗浄が有効であると考えられた.
- 耳鼻と臨床会の論文