ネコ上喉頭神経知覚線維の中枢投射に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
上喉頭神経知覚線維は, 下咽頭および声門上の喉頭粘膜を支配していると考えられているが, その中枢投射に関しては不明な点が多い. そこで, 本研究では上喉頭神経求心線維の孤束核内投射および最終的な大脳皮質への投射に関して, ネコを用いて電気生理学的ならびに組織学的な研究を行つた. 組織学的にはWGA-HRPを上喉頭神経中枢端より取り込ませ, 求心線維を順行性に標識した. 標識された神経終末は同側の孤束核NTS尾側部位の間質核interstitial subnucleusに密に,また腹外側核ventrolateral subnucleusにも比較的多く認められた. また, 同側上喉頭神経電気刺激による延髄内誘発電位の記録では, 後シナプス性の誘発電位が, 刺激の4msec後にやはり孤束線維の外側近傍で最大値を示した. すなわち, 上喉頭神経知覚線維は同側のおもに孤束核間質核および腹外側核に単シナプス性に入力していることが明らかとなつた. 皮質での誘発電位は, 眼窩回前部の嚥下運動領野と考えられる部位で刺激後10~14msecの潜時で両側性に記録された.<BR>以上の結果より, 下咽頭および喉頭上部の知覚情報は孤束核, 特にその間質核で中継され, 延髄網様体で情報処理されるばかりではなく, さらにいくつかのシナプスを介して皮質の嚥下運動領野に伝達されるものと考えられた.
- 耳鼻と臨床会の論文