嚥下障害をきたしたパーキンソン病の1例
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概要
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高度な嚥下障害に対し喉頭摘出術を施行したパーキンソン病の1例を報告した. 食道造影検査では口腔より咽頭への送込みの遅延がみられ, 嚥下時, 食道入口部はほとんど開大せず, 数回嚥下運動を行つても造影剤はほとんど食道へは送込まれず, 高度の誤嚥がみられた. また食道運動に特に異常は認めなかつた. 筋電図検査では各筋の活動様式は正常と異り, 筋の協同運動が障害されていることが示唆された. 検査結果より, 自験例では内外舌筋の協同運動障害により咽頭への送込みが遅れ, 食塊の移動と嚥下運動とのタイミングのずれがみられ, さらに各筋の協同運動障害と食道入口部の弛緩不全により食塊はほとんど食道へは送込まれず, 下咽頭に貯留した食塊が嚥下後に喉頭から気管に流入しているものと思われた. 輪状咽頭筋切断術および喉頭挙上術を行つたが症状は完全には消失しないため, やむなく喉頭摘出術を行つた.
- 耳鼻と臨床会の論文