耳用オフロキサシン剤の脳内移行に関する実験的研究
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概要
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0.3%OFLXをモルモット中耳腔内に投与し, その体内動態を経口投与時のそれと比較することにより本剤の中耳から脳への直接移行の有無について検討した. その結果, 1) OFLX点耳後の脳内濃度は血清中濃度の約1/5~1/10であり, 経口投与時の濃度比とほぼ同じであつた. 2) オートラジオグラフィーの成績から本剤は中耳腔から直接脳内に移行しないことが判明した. 3) 中耳腔に投与されたOFLXは蓄積することなく, 尿中に排泄されることが判明した. 4) 以上の成績から, OFLXを中耳腔内に投与したとき, 本剤は投与部位から体循環血に入つた後脳内へ移行することが判明した. さらに, ヒトにおける点耳時の投与量が経口投与時より著しく少ないことから考慮し, 本剤を点耳薬として使用したとき中枢性の副作用を起こす可能性は極めて少ないと考えられる.
- 耳鼻と臨床会の論文